話し方の勉強をした方ならご存じでしょうが
最初の頃に言われるのが、「原稿の丸暗記はダメ」と言う事です。
私の経験則から言ってもその通りだと思います。
理由1 途中が飛んでしまうと、スピーチが止まってしまう。
この説明をする時によく使うのが以下の問いです。
今からある歌の題名を言います。
その歌の最後のワンフレーズを答えてください。
用意はいいですか。
その題名は君が代です。
答は「苔のむすまで」ですが、回答するまでに10~20秒ほど掛かる事が多いです。
その理由は、答えを導き出すまでに、
頭の中で「君が代は 千代に・・・」と歌詞を最初から歌っているからです。
もし、途中の歌詞が出てこないと、
思い出すために再度歌詞を最初から歌わざるを得ません。
実際のスピーチでは、話を最初からするやり直す事などできませんから、
頭の中でのやり直しとなります。
その時、スピーチが止まってしまうことになります。
理由2 原稿の途中を忘れた時にパニックになる恐れがある。
丸暗記の内容をスピーチしなければならないと思っていると、
原稿の途中を忘れた時にどうしようどうしようとパニックに陥ることもあります。
こわばったり、その状態を声にしたりする場合はまだしも、
泣き出したり、スピーチ中止ともなると、
その姿は本人はもとより、聞き手にとても悲しい事です。
話し方教室では、それが怖くてやめてしまう人が多いのも実際です。
ではどうすればよいか。答えは簡単です。丸暗記しないことです。
私は、以下のように割り切っています。
①スピーチは生き物。話す度に変化するのが当然。
②最初と最後が合っていれば中身の順番が多少変わっても大勢に影響ない。
③聞き手はスピーチの中身やその順番を知らない。中身の順番に関心はない。
中身の順番に関心を持ってしまうのはスピーチする本人だけ。
このように割り切った上で、原稿を推敲したり、練習したりすることが大事だと思っています。
読んで下さり、ありがとうございます。